最終更新:2025年4月7日

いつまでに?どうやって?IPO準備に必要な3つの組織を整備しよう!
<株主総会・取締役会・監査役会>

大変ってホント?!IPOまでの道のりと準備をスムーズに進めるために必要な5つのポイントを徹底解説

でも触れましたが、IPO審査の合格基準は正式に公開されておらず、

  • 東京証券取引所の「新規上場ガイドブック」※1
  • 監査法人による「ショートレビュー」
  • 証券会社による「ヒアリング」

に沿って準備をしたり、過去事例を参考にして進めていくことになります。


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※1 新規上場ガイドブック


今回は、IPO準備で必ず考えることになる組織整備について、どのような点に気をつけて進めていけばいいかを考えてみます。

これからIPO準備を始める企業様や、まさしく今準備をしているよという企業様必見です!


IPO準備企業に必要な3つの組織とは?

1. IPOを目指す上で必要な組織について

「組織構成」と聞いて、まずはどんなことを思い浮かべるでしょうか?

大企業ではすでに十分な組織が作られている状態です。
新規事業を作るときに、増設されていくのが一般的ではないかと思います。

多くの創業したての会社さんにとっては、これから作っていかなくてはいけないものになります。
会社が成長する過程で組織をどんどん拡大していきたいと思っても、 一朝一夕でできることではありません。

IPO準備の中で、監査法人や証券会社など外部の機関とのやり取りでも、組織の構成が大事なんだと感じる機会は多いでしょう。
ここで、2つの疑問が生じます。

  • どのような組織を作っていくのが正解なのか?
  • 優先的に行うべきことは何なのか?


大まかな概要を聞くことはあっても、具体的な情報はなかなか世の中に出回っていないのが現状です。

組織① 株主総会

株主総会には、

  • 定時株主総会
    →開催時期の会社法上の明確なルールはなく、定款 (※2) で定めるのが一般的です。
    事業年度終了後3ヶ月程度で開催されることが多いです。

  • 臨時株主総会
    →必要があればいつでも召集できる株主総会です。

の2種類があります。


現在、合同・合資・合名会社である場合は、上場を考えていくフェーズでは「株式会社」にする必要があることも、ぜひご確認ください。


(※2) 定款:以下の項目を必須とする、会社の運営ルールなどが記載された書類です。
株式会社を設立する際には、絶対に作成しなければいけないものです。

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 社員の氏名又は名称及び住所
  • 社員が有限責任社員であること
  • 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

組織② 取締役会(推奨:N-2期までに設置、必須:N-2期末までに設置)

取締役会とは株主から経営を委任されている機関で、業務執行の最高意思決定機関です。
IPO準備の過程で、この取締役会を設置することが義務付けられています。


<構成されるメンバーは株主総会で選任されます>


  • 取締役3名以上(社内)
  • 監査役が1名以上


取締役会においては、議案に係る検討資料や月次業績資料などに基づいた十分な議論・検討と、その過程を経た組織的な意思決定・監督が求められます。

組織③ 監査役会(必須:N-1期までには設置)

組織②で監査役1名を選任するというお話をしましたが、こちらも機関設計の一つとなります。
確認しておきたい点としては、次のようなものがあります。


  • 上場時には3名の監査役を選任し、監査役会を設置する
    →監査役で重要なのは常勤性です。
    例えば3名全員が社外監査役だったとしても、そのうちの1名が常勤監査役であれば、上場要件・監査役会の要件ともにクリアとなります。

  • 上場時には社外監査役が最低1名以上必要
  • 監査役会の設置に代わる、監査等委員会を設置する
    →3名以上の取締役で構成されます。過半数がが社外取締役である必要がある点に注意です。


最近では委員会設置会社というものが認知されるようになってきました。
取締役に監査等委員会を作ってもらい、監査役の代わりになってもらうことができます。


そもそも監査役の役目は、取締役がちゃんと仕事をしてるかを監督することです。
将来上場時や会社の規模が大きくなったとき、事業内容や進め方が本当にそれで大丈夫なのかを監視する重要な機関となります。


取締役・監査役の構成について抑えておきたいポイントは次の4つです

  • 内部の昇進や外部からの選任など、構成メンバーは多岐にわたる
  • 上場時には社外取締役1名が必要(独立性要件を満たしている方)
  • 上場時には最低1名以上の社外監査役が必要(常勤非常勤問わず、社外であればOK)
  • 常勤監査役1名、社外監査役2名で構成されるのが一般的(常勤が社外でもOK。監査役の選任は登記業務、社内と社外の役員では登記内容に差異があるので、注意が必要)


監査役の適任者がわからない場合や採用が困難な場合は、お知り合いの経営者や当社のようなIPO準備のサポートをしている企業に相談してみてくださいね。


監査法人・証券会社出身のプロが会社の現状を徹底診断します!

2. 組織内の兼務について

次にもう少し事業部に即して見てみましょう。


兼務が多いと上場できない?

ベンチャー・スタートアップでは、代表者がほとんどの役目を兼任しているというケースがあります。

これを徐々に分業体制にもっていくことが、組織整備において大切です。
部署ごとに専任者を採用しながら、CTOなども選任していくという流れです。

兼務が多すぎると上場申請時に指摘事項になってしまうからです。
特に、営業部と管理部の兼務がないようにしましょう。

上場審査でNGが出てしまう兼務の範囲

いろんなパターンが考えられると思いますが、ここでは「財務部」を例に考えてみます。

① 管理本部長:Aさん
② 財務部長:Aさん
③ 財務担当:Aさん

と、Aさんは大変多忙にお仕事をされています。
申請者、承認者、責任者が同一人物で業務フローが成り立たせている状態です。

本来であれば、別々の3人から承認を得る必要があるフローにおいて、実際は1人だけで全ての承認をしていては、不正やミスが起きやすい体制ができてしまいます。

ベンチャー・スタートアップでは、人手不足や採用難などの事情もあることでしょう。
IPOを目指していく上では、N-3期やそれ以前の段階では、兼務したり外注を依頼したりということも当然あり得ます。

しかし、N-2期頃に監査法人や証券会社が入ってくると指摘される項目です。
担当者クラスは外注でも認められるケースがありますので、状況によって外注を含めた組織構築も計画的に検討しましょう。

少しずつ組織を拡大していく中で、規定や業務フロー等のルールを制定し、権限を徐々に代表者から各担当者へと落としていくとよいです。

手間のかかることではありますが、将来組織が大きくなったときに強固な基盤ができている状態を目指して、早い段階で取り組みを始めることをお勧めします。

3. 組織整備における優先順位

N-2期の監査法人・証券会社が入ってくる時期までに、採用や組織整備を計画的に進めましょうというお話はすでにしましたが、どこから始めるべきかという優先順位はあるのでしょうか?

これは事業によって異なるので、ケースバイケースであると思っています。

ディープテック企業であれば、エンジニアの採用が最優先であるケースが多いですし、 営業代行やセールステックの企業であれば、営業部の体制を強化して拡販を狙うのが一般的です。

大事なのは、会社の事業や戦略に即して優先順位を決定していくということです。

ただし1点注意すべきなのは、こうして事業に即して組織整備をしていこうとすると、
バックオフィスの整備が後回しにされがちで、経理も税理士さん任せになっている…という会社も出てきてしまうということです。

または、事務の1人にいろんな業務が集中していたりするケースもよく耳にします。

バックオフィス人材の採用にも余裕をもって取り組むと、上場手前で慌てずに済みます。

目安はN-3期以前です。
また、採用計画についてはUniforce株式会社でもご相談いただけます。
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