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上場までの流れを徹底解説!上場の目的と実務スケジュール
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最終更新:2024年10月16日
上場までの流れを徹底解説!上場の目的と実務スケジュール
1. まずは確認:なぜ上場するかの目的は明確ですか?
株式上場の目的として、一般的に次のようなものが挙げられます。
上場の目的は会社ごとに異なりますが、社会的信用度が高まるという点は、ほとんどの会社が実感するところでしょう。
一般社員でも、商談などで対外的に話をする場合に、上場企業の信用度を感じる場面があるかと思います。
また、資金調達の提案が増えるなど、事業成長のための選択肢が広がることも上場のメリットとして魅力的なものです。
金融系や信販系の業種であれば、上場していることによって金銭貸借の利率条件が0.1%でも向上すれば、それだけで事業に莫大なメリットをもたらすこともあります。
人材採用の場面においても、求職者にとって上場企業であることは応募・内定承諾の決め手になりやすいのです。
「上場している」とは、形式上では株式を取引所で売買できるかどうかということのはずですが、
「上場している」状態になりたい理由、つまり、上場を目指すメリットや上場を目指す背景・理由は、各社それぞれ明確にあるべきです。
経営陣の中でも目的が一致していなかったり、その目的を全社に周知できていなかったりする場合があります。
長期にわたるプロジェクトになるため、途中で士気が下がることもあるでしょう。
何のために頑張っているか分からなくなったり、自分には関係ないと思ってしまうこともあるでしょう。
上場の目的を明確にすることは、IPO準備プロセスで個々の課題をクリアしていくこと以上に重要です。
上場準備中から実感できるメリットもある
先に挙げた上場の目的のうち、「社内体制の強化」については上場前からそのメリットを実感できるものです。
会社の管理体制がきれいに整っていく様子や、
社員の意識がレベルアップしていく様子をリアルタイムで感じることができるのではないでしょうか。
例えば、特定の役職メンバーが突然いなくなったとしても、会社が組織的に機能し、存続していくことができる。
そのような安定した経営基盤を築くことに繋がっていきます。
2. 上場に向けて現状を把握しよう
上場の目的が明確化され、いよいよ上場を目指そうという段階において、
次に考えるところは①現状と②課題についてです。
自社の状況を把握するための方法として、セルフチェックの実施があります。
Uniforce株式会社が提供する「人事労務セルフチェック機能」や「ショートレビューセルフチェック機能」を活用することで、
上場の水準から見て自社がどのくらいの地点にいるのかを把握することができます。
現状抱えている課題がわかれば、上場に向けたスケジュールを正しく設定することが可能になります。
未解決のタスクが後から後から出てきては、現場のモチベーションも下がってしまいます。
監査法人の「ショートレビュー」ってなに?
一般的にN-3期までに行われることが多い、監査法人による会社の健康診断のようなものです。
上場する会社は、上場する日が属する事業年度(申請期)の直前2期分の財務諸表について監査を受け、
適正である旨の意見を取り付けなければならない形式的な基準があります。
従って、直前2期分より前にショートレビューを受けることになるため、
上場を目指す会社は必ずこの時期(N-3期まで)に受けることになります。
このショートレビューで、上場までに必要なことが洗い出されます。
市場によりますが、ここで洗い出された数百(タスクを細分化すると会社によっては千以上)の課題を、約3~5年かけて解決していくことになります。
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3. 上場プロジェクトチームの発足をしよう
上場を目指すことが決まり、課題も明らかになりました。
その後はプロジェクトチームを立ち上げることが一般的です。
とは言っても、上場準備の専任チームというわけではなく、管理部門が兼任することが多いです。
しかし、管理部門はすでに本業で手一杯であるというケースがほとんどです。
限られたリソースの中で、大量の資料を収集・作成しないといけないわけです。
外部の支援者と折衝する機会も増えてきます。
このため、上場申請の3~4年前から余裕を持って、社長も含めたプロジェクトチームを立ち上げることが必要です。
プロジェクトチームに必要な人数は?
現実的な人数として、プロジェクトチームには最低でも5~6人は必要でしょう。
数百人規模の会社になってくると、20人ほどで上場準備に取り組んでる場合もあります。
どうしても人手が足りない、経験者がいないという場合には、コンサルタントの起用を検討することもできます。
4. 全体のケジュールを把握して上場準備に臨もう
目指す市場にもよりますが、上場までのスケジュールを期ごとに解説します。
余裕を持って始めたいN-3期
上場準備は早めに動き始めるに越したことはありません。
上場(IPO)に向けた事業計画や資本政策を策定していない会社が非常に多く、
いざ提出を求められたときに全リソースを割いて準備をすることになってしまいます。
これをN-3期より前から少しずつ着手していると慌てずに済みますので、ぜひ参考にしてほしいポイントです!
他の項目についても、N-3期までに終わらせておくことで、N-2期での負担が軽減されます。
具体的に整備を進めるN-2期
会社の機関設計や組織図を見直すというところも、N-2で行うことが多いです。
他にも、労務DDで多額の未払い残業代が発覚し、上場どころではなくなってしまったという事例もあります。
労務関連の課題を把握するためには、監査法人のショートレビューとは別に、
社労士事務所による労務DDを活用することが多く、早めにチェックしておきましょう。
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上場後を見据えた運用・改善をするN-1期
これまで上場のために準備してきたことを、上場後と同じレベルで運用できているかを証券会社が確認する期間に入ります。
すでに整備されたことを1年を通してPDCAを回して、管理体制を運用・改善していきます。
そのため、N-1期に入る前までに、どれだけ管理体制を上場基準に近づけておけるかが成功のポイントとなります。
いよいよ申請期
N-1期までは、証券会社の公開引受部門が上場準備の指導・支援をしてきてくれました。
ここからは、①申請まで ②申請から承認まで の2つのフェーズで、
証券会社の審査部門と東京証券取引所の審査部による厳正な確認が行われます。
さいごに
上場準備は、全体像を把握して余裕を持って進めることで、プロジェクトチームの負担を軽減することができます。
また、上場の目的を明確にすることで、関係者の協力を得やすい状況をつくることも可能です。
プロジェクトチームの負担が大きいようであれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。
絶対に遵守しなければならないところや、他にも対応の選択肢があるところなど、
プロの視点でアドバイスをもらっておくと準備がよりスムーズに進むでしょう。
- Writer
Uniforce株式会社 マーケティング部