投資家を惹きつける決算資料デザインの実践テクニック

みなさん、決算開示資料の作成で苦労していませんか?

「数字の羅列で終わってしまう」

「資料作成の時間が足りない」

「社長の想いを伝えられない」

これらは上場企業のIR担当者から聞かれるお悩みTOP3です。

今回は、数々の企業のIR資料デザインを手がけてきた経験から、投資家を惹きつける決算開示資料の作り方をお伝えします。

単なる数字の報告から脱却し、企業の魅力を最大限に伝えるデザインの極意について、実践的なテクニックを交えながら解説していきます!

IR担当者が直面する3つの壁とは

1. 数字の羅列がやっと…開示期限との戦い

実は多くの企業で、IRを担当する部署は1〜3名という少人数体制で運営されています。しかも、決算業務と広報業務を兼務しているケースも多々。常に時間に追われている状況なのです。

こんな悲鳴が現場から聞こえてきます。

  • 各部署からの情報収集に予想以上の時間がかかる
  • 開示期限ギリギリまで数字が確定しない
  • デザインや図表作成にまで手が回らない


実際、開示の前日になってようやく数字が揃うという企業も珍しくありません。その結果、なんとか正しい数字を羅列するのがやっとという悪循環に陥っているのです。

2. 限られたリソースの中での資料作成

四半期ごとの決算開示は、企業にとって重要なルーティン業務です。しかし、そのプロセスは想像以上にタイトなもの。

各事業部から数字を集め、それを整理・分析し、資料に落とし込み、さらにはデザインまで考える。

これを短期間で行うのですから、担当者の負担は相当なものです。

正しい情報を伝え、株主にも納得してもらうという、それはそれはプレッシャーの大きなミッションを毎回遂行しているのです。

3. 社長の想いを形にする難しさ

最も深刻な課題は、経営者と現場担当者の視点の違いです。

経営者は常に未来を見据えています。「こんなビジョンを描いている」「これからこういう展開を考えている」といった、まだ形になっていない構想を常に頭の中で巡らせています。

一方、IR担当者は「今、何を開示すべきか」という現在進行形の視点で考えます。

この違いが、コミュニケーションギャップを生み出し、資料作成をさらに高難易度にしています。

決算開示資料と資金調達資料の決定的な違いを理解する

ご相談いただくビジネス資料の作成で多いのが、「決算開示資料」と「資金調達資料」です。

まず押さえておきたいのは、これら2つの資料の性質の違いです。

資金調達資料の特徴

  • 特定の投資家向け(限定的な読者)
  • 未来への期待値に焦点を当てる
  • 一時的な使用目的


\資金調達資料の詳細についてはこちらをご参照ください!/

プロ直伝!スタートアップの資金調達に必要な”伝わる”ピッチ資料

決算開示資料(IR資料)の特徴

  • 機関投資家・個人投資家など幅広い読者が対象
  • 過去3ヶ月の進捗報告が中心
  • 継続的な情報開示(四半期ごと)


ここで重要なのは、決算説明が単なる数字の報告ではないということです。

企業の魅力を伝え、投資家にワクワク感を与える場でもあります。

「社長の頭の中」を可視化する実践テクニック

社長の頭の中を可視化するのは難しい

私が実践している、経営者の想いを効果的に伝える手法をご紹介しましょう。

経営者の想いを伺いながら、リアルタイムに可視化していくことで、実際のIR資料に落とし込むべき情報を整理します。

これにより、数字の羅列のみだったIR資料に、生き生きとした企業の魅力を伝えるコンテンツが加わります。

リアルタイム可視化の3ステップ

<ステップ1:キーワード抽出>

経営者との打ち合わせでは、話を聞きながら重要なキーワードをメモしていきます。

10分間の話の中から、最も重要なキーワードを見つけ出すのがポイントです。

<ステップ2:関係性の整理>

抽出したキーワード同士のつながりを構造化します。

よくよく見てみると実はたった3つのキーワードに集約されたりもする興味深い作業でです。

ステップ2で優先順位を明確にしていきます。


<ステップ3:その場で図解を作成>

手書きでもデジタルツールでも構いません。

その場で図解を作成し、可視化したものを一緒に確認していきます。

このアプローチの効果は絶大です。

経営者からも「そう、それが言いたかった!」という反応が返ってきて、議論が一気に前進します。

投資家の心を掴むデザインの極意

伝えるべき情報が明らかになったら、資料に反映していきます。

既存株主と新規株主が求める情報のギャップにも対応しつつ、事務的になりすぎない決算開示を目指します。

1. 情報の構造化が鍵を握る

  • 最も伝えたいメッセージを冒頭に配置
  • 基本情報→詳細→未来展望という流れで構成
  • 視覚的な導線を意識したレイアウトを採用

2. 表現方法に工夫を凝らす

既存株主と新規株主では、求める情報が異なります。

このバランスを取ることが重要です。


既存株主が求めるもの

  • 安定性を感じさせる表現
  • 数字に基づく明確な根拠
  • リスクの適切な開示


新規株主が求めるもの

  • 成長可能性の提示
  • チャレンジングな施策の紹介
  • 魅力的な未来ビジョン

3. デザインの「温度感」を調整する

派手すぎると既存株主から反発を受けます。しかし地味すぎると新規投資家の興味を引くことはできません。

この絶妙なバランスこそが、プロの腕の見せ所なのです。

よくある質問と解決策

Q: 数字の正確性とデザインでの見せ方のバランスはどう取ればいい?

数字の水増しは絶対にNGです。ただし、伝え方次第で印象は大きく変わります。

例えば、「売上高は前年比5%増」という事実を、「主力事業が堅調に推移し、売上高は前年比5%増を達成」と表現するだけで、ポジティブな印象を与えられます。


Q: 時間がない中でどうデザインを改善すればいい?

まずはテンプレートの整備から始めましょう。一度しっかりとしたフォーマットを作れば、その後の作業効率は大幅に向上します。

また、重要なページから優先的に改善していくのも効果的です。

外部のデザイン会社に依頼する場合は、IR資料に精通した会社もしくは担当者が適任です。お困りの際は、ぜひUniforce株式会社にご相談ください。


Q: 社長との意見の擦り合わせはどうすれば?

社長の未来志向の視点を、現在の戦略にどう落とし込むか。

この「翻訳作業」が鍵となります。

まずは社長の話をじっくり聞き、その本質を理解することから始めてください。




\株式会社シイエヌエス様の事例インタビューをお読みいただけます/

株式会社シイエヌエス様 | 事例インタビュー「決算資料のデザインと中身にはこだわりたい!妥協せず、さらに20時間の作業効率化を実現」

決算開示資料は企業の「顔」

決算資料(IR資料)は、単なる義務的な報告書ではありません。

それは企業の現在と未来をつなぎ、投資家との信頼関係を構築する重要なコミュニケーションツールなのです。

適切なデザインは、企業の価値を正しく伝え、投資家の共感を生みます。そして結果として株価にも反映されていくのです。

まずは自社の決算資料を見直し、改善の余地を探ってみませんか?小さな変更から始めても構いません。

大切なのは、「伝わる」資料を目指して一歩を踏み出すことです。




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