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IPOが遅延する3つの要因とは?ケーススタディを確認して事前に備えよう

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IPOが遅延する3つの要因とは?
ケーススタディを確認して事前に備えよう
完璧だったはずのIPO準備。 時間もお金もたっぷりとかけてN期を迎えたにも関わらず、IPOが遅延してしまうことは残念ながらあります。
今回は実際の過去事例からIPOが遅延する要因を考えていきます。
現在まさにIPO準備中の企業さまに読んでいただけると嬉しいです。
結論からお伝えすると、IPOが遅延する主な要因は次の3つです。
- 経営や事業の実態に伴わないガバナンスの構築
- IPO準備の正しい進め方がわからない(ガイドラインがない)
- 上場申請業務と上場体制構築の両立が難しい
それぞれの原因と対応策について詳しく見ていきます。
1. 経営や事業の実態に伴ったガバナンスの構築ができていない
原因
- 上場ゴールを目的とした解決策が中心になる
- 事業部側とすり合わせをする時間を取れない
- 事業形態にマッチにした管理体制の構築まで検討できない
付け焼き刃のガバナンス構築によって事業成長や組織拡大に伴う対応ができず、継続的にガバナンス運用の見直し工数が発生してしまいます。
その結果、不祥事等の発生リスクが高まり、IPO遅延が発生するケースが見られます。
対応策
- 監査企業との協議を行い、会社の方針や事業部側の意向を踏まえた方針を明確にする
- 事業部側も巻き込んだプロジェクト体制をつくる
- 現場の理解と浸透に時間をかける
N-1期に完全な状態でガバナンスを運用するためには、なるべくN-3期よりも前から整備に取り組んでいくことが理想のスケジュールです。

2. IPO準備の正しい進め方がわからない (ガイドラインがない)
原因
- IPO準備全体のスケジュールを把握できていない
- コンサルの担当者に依存していて、確認工数や費用が大きい
- 規程類作成のノウハウがなく作成方法がわからない
- 規程に織り込むべき法的十分性を確保できているかわからない
- 内部統制の整備・運用方法がわからない
対応策
- 全体像を理解し、IPO準備に必要なタスクを網羅する
- 各IPO準備タスクについて合格基準やガイドラインを確認する
- 事業部側の意見を取り入れ、実態に合った内部統制の整備を進める
- スケジュールを組める人材を確保もしくは育成する
この場合、IPOの全体像とは「経理、財務、労務、税務、法務、内部監査、内部統制」を、
スケジュールを組める人材とは監査法人や証券会社との協議が最低限行えるレベルを指します。
3. 上場申請業務と上場体制の構築の両立が難しい
一般的に、各作業内容は下記の通りです。
上場申請業務
- 証券会社、東証のヒアリング事項に対する回答作成
- 事業計画及び成長可能性に関する事項の作成
- 経営者・監査役・独立役員との面談
- 上場申請書類の作成、以下主な上場申請作成書類・目論見書
- 新規上場申請のための有価証券報告書( I の部)
- 有価証券届出書
- 上場申請者に係る各種説明資料
- 申請事業年度に係る年度予算計画書、中期経営計画書
- コーポレート・ガバナンスに関する報告書
- 四半期報告書 など
上場体制の構築
- 組織体制・経営戦略に関する体制構築
- コーポレートガバナンスに関する体制構築
- 利益管理体制に関する体制構築
- 利益管理体制に関する体制構築
- 関係会社・特別利害関係者などに関する事項
- コンプライアンスに関する体制構築
- 社内規定、社内重要書類に関する体制構築
- 会計制度、上場会社の会計基準に関する体制構築
- 決算体制・適正な財務報告に関する体制構築 など
以上の業務を通常業務を行う傍らで進めていく必要があります。
現場の工数が逼迫することにつながり、IPO準備の進捗に影響を与えることにつながります。
途方もない作業量に見えますね。
しかし、IPO準備を進めるためだけではなく、会社の基盤をつくるために必要な業務です。
このような内部統制の構築が不十分だった場合、深刻な問題に発展する危険性があります。一例をご紹介します。
Case 1. 定期的な規程の見直しを行なっていないため最新法令に則っていなかった
最新法令に則った状態で運用するための就業規則や規程の整備がされていない場合に、次のような問題が発生することがあります。
- 残業代未払い
- 違法残業
Case 2. 経理が1人体制など、職務分掌が適正にできていなかった
職務分掌 (※) を明確にし、人手不足は採用や外注で解消しましょう。
- 業務の属人化により横領や不正の動機につながる
- 長時間労働につながる
※職務分掌(しょくむぶんしょう) 組織における担当者の役割を分担して、責任の所在を明らかにすること。

不正のトライアングルの要素が介在しない環境づくりをすることで、 ガバナンスが構築され、IPO遅延リスクを減らすことができます。
理想的な構築フローについては、次の図を参照してください。

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- Writer
Uniforce株式会社 マーケティング部
- Interview
Uniforce株式会社 コンサル事業部
公認会計士 加藤 泰斗