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IPO準備を進めるスタートアップの人事評価制度
- IPO準備
IPO準備を進めるスタートアップの人事評価制度
↑こちらの記事で、企業カルチャーがIPO達成にどのような影響を及ぼすかについて触れました。
IPO準備を行う過程において、全社的な協力を得られる環境をつくることは、IPOを達成できるかどうかに関わる最重要課題のひとつです。
しかし、同時に見落とされがちな部分でもあります。
最近では、人的資本経営※という言葉も浸透してきましたが、具体的にどのような点に気を付けて経営していけばいいのでしょうか。
IPO準備では人事制度が整備されているかもしっかり見られるポイントです。
人的資本経営のヒューマンタッチな部分とIPOに向けた人事評価のための規則の両面から、人事評価制度について考えてみます。
※人材を重要な「経営資源」と捉え、 企業の持続的な成長に不可欠な存在として、戦略的に育成・活用していく経営手法です。
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評価制度の導入
働き方の多様化や終身雇用の崩壊などにより、従来の評価制度を継続するのが困難になった背景があります。
また、上司から部下への主観的で一方的な評価は、従業員のモチベーションを下げる原因になります。
その結果、退職が相次いだり、会社の評判(レピュテーション)を下げる行為(SNSでの発信等)が発生したりすることも考えられます。
まずは、公平な評価制度の導入を検討し、適切な評価の体制と各従業員の目標管理体制を整えましょう。
360度評価(多面評価)
複数の視点で評価をすることを目的とした評価制度です。
上司から部下への評価のほか、部下から上司、同僚からの評価も加わります。
評価の客観性を保つために、情報が決して第三者に伝わらない仕組みと情報の取り扱いルールが必要です。
<IPO準備における360度評価>
自らの上司の評価のみを気にする働き方ではなく、同僚や部下にとって良い影響を与えることができているかを意識することで、組織レベル全体が向上することが期待されます。
それとは別に、IPO準備を進める上で、コンプライアンス体制の構築は必須であり、
法令遵守のみならず、レピュテーションを棄損する行為や、会社の企業価値を棄損する行為の防止につながる仕組みが求められます。
「相互牽制機能」が、これらのリスク対策になることが考えられます。
また、360度評価により職場内での人間関係に潜んでいるハラスメントや不正行為を察知できる場合もあります。
コンピテンシー評価
昨今よく耳にするようになった「コンピテンシー」とは、企業内で高い成果を上げる人材に共通する行動特性を指します。
個人のスキルのみではなく、どのような行動が成果に結びついているかという観点で、その思考や行動を評価する制度です。
成果と具体的な行動を評価することで、評価への満足度を高く保つことができるメリットがあります。
また、人材の育成やマネジメントを行いやすくなる側面もあります。
<IPO準備におけるコンピテンシー評価>
IPO達成に向けて持続的な成長が求められるスタートアップにとって、
再現可能性のある成果を上げるための行動様式は注目すべきポイントです。
バリュー評価
会社が設定する価値観(バリュー)に沿った行動ができているかを評価する方法です。
新しい評価方法として注目されています。
企業の価値観やカルチャーを浸透させるのに役立ち、団結力を高めることにつながります。
部下がなんでも上司の判断を仰いだり、ある程度自分で判断してほしい、というのがお悩みのマネジメント層も少なくないですが、
全社で定めたバリューが、あらゆる活動における”ものさし”となり、迷ったときに従うべき指針となることを通じて、個人の能動的な意思決定が期待されます。
<IPO準備におけるバリュー評価>
IPO準備においても、一丸となって推し進める雰囲気づくりを後押しします。
ただし、評価基準が曖昧になりすぎないよう、ある程度の行動規範を明示しておくことが重要です。
評価制度を導入するだけではダメ
昨今注目が集まっている人事評価制度を3つご紹介しました。
この他にもOKRやリアルタイムフィードバックなど、様々な方法がありますので、リソースや企業のフェーズによって検討するといいでしょう。
また、IPO準備に向けて社内の士気を高めるほかにも、IPO準備の審査過程においても人事制度の整備状況はチェックされるため、早めに取り掛かるのがおすすめです。
しかし、このような評価制度は導入するだけでは課題の解決には至りません。
新しい制度が定着するまでに時間が必要であることも理解しておきましょう。
社内の混乱を避け、IPO準備に向けて団結するためにも、評価方法や評価の流れは細かく決めておくと安心です。
Uniforceの「IPO準備クラウド」なら、専門家の意見を聞きながらIPOの基準をクリアするに足りる規則の整備を進めることができます。
- Writer
Uniforce株式会社 マーケティング部