未活用技術を埋もれさせない!スタートアップ創出型カーブアウトとは?

従来のカーブアウトは、子会社独立やJV設立、会社分割など、既存の事業再編の手法として活用されてきました。

しかし近年、新たな形態として「スタートアップ創出型カーブアウト」が注目を集めています。これは、事業会社内で事業化できない技術を活用し、スタートアップとして独立させるアプローチです。

2024年4月に経済産業省が公開した「「起業家主導型カーブアウト実践のガイダンス」の中でも、今後の日本にとって重要な戦略であると紹介されています。

スタートアップ創出型カーブアウトの特徴

  • 起業家主導:社内外の起業家が主体となって事業化を推進(主導者がCTOや顧問を担当することもある)
  • VC資金の活用(任意):ベンチャーキャピタルからの資金調達による急速な成長の実現
  • 技術の活用:事業会社内では活用されていない技術の事業化
  • 経営支援:事業会社からの人材、設備、資金などの提供による継続的サポート

国が期待するスタートアップ創出型カーブアウトの効果

日本の民間部門の研究開発投資の約9割が大企業によって担われており、その中で事業化されない技術の約6割が消滅している現状があります。

このような背景から、国はスタートアップ創出型カーブアウトの促進により以下の効果を期待しています:

  1. 新産業創出
  2. イノベーション実現
  3. 公的投資の活用促進
  4. 起業経験者の増加
  5. スタートアップ・エコシステムの成熟

事業会社がカーブアウトするメリットと成功のポイントは?



\解説するのはこの人/

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カーブアウトをおすすめしたいのはこういう会社

次のようなケースで、スタートアップ創出型カーブアウトが効果的だと考えられます。

  1. 未活用技術の蓄積がある 研究開発を継続的に行なっているものの、コア事業との関連性が薄く事業化に至っていない技術資産を保有している
  2. スピード感をもった新規事業の創出に課題がある 社内の意思決定やリスク管理のプロセスの煩雑さから、革新的アイデアをスピーディに実現しにくい組織構造になっている
  3. 人材流出のリスクがある 技術開発に携わる有能な人材が、自身のアイデアを実現できないことでモチベーションを保てず転職を検討している
  4. 経営資源(資金・人材・設備)に余裕がある カーブアウト後も継続的支援が可能な経営基盤を持っている

カーブアウトを成功させるために抑えておきたいポイント

スタートアップ創出型カーブアウトの成功には、親会社からの過度な干渉を避け、機動的な意思決定が可能な経営体制の構築が必要です。

相当の技術や経営資源があるにも関わらず、今までカーブアウトを実行していない企業では、そもそもカーブアウトが選択肢と見なされてこなかった場合が多いです。

人材が流出するような事態になる前に、段階的な自立計画を立て、立ち上げ期に必要なリソースの支援・提供を検討しましょう。

具体的な実施ステップは?

▼ 準備フェーズ

  1. 対象技術の特定と評価
  • 事業会社内で活用されていない有望技術の探索
  • 市場機会の評価と事業計画の策定
  1. 事業会社との初期交渉
  • 技術移転の条件交渉
  • 支援内容(人材、設備、資金など)の確認
  1. VCとの協議
  • 資金調達計画の策定
  • バリュエーションの設定

▼ 実行フェーズ

  1. 会社設立と技術移転
  • 株式会社の設立
  • 知的財産権の移転契約締結
  1. 支援体制の構築
  • 事業会社からの経営支援内容の確定
  • 人材採用・育成計画の策定

まとめ

スタートアップ創出型カーブアウトは、単なる事業の切り出しではありません。

日本企業に眠る技術資産を活性化する可能性を秘めた戦略的アプローチです。

また、出口戦略としてM&Aなども視野に入れた関係構築を進めることで、日本経済全体にとって大きな価値を創出しうるものです。

未活用の技術や優秀な開発人材を抱える企業は、ぜひその可能性についてご相談ください。